【目的】消費者庁長官への届出制である機能性表示食品は、届出に際し錠剤・カプセル形状の食品の場合は崩壊性試験及び溶出試験による最終製品としての同等性の評価を行う必要がある。しかし、機能性表示食品において、日本薬局方(JP)崩壊試験(DT)の判定基準に適合しない製品があるとの報告があったことから、サラシア由来サラシノールを含有するボトル包装の錠剤形状の機能性表示食品3製品につて加速条件下で保存したところ品質が著しく低下した製品Aを用いて、安全性確保の観点から保存環境が品質に与える影響について探索をおこなった。
【方法】製品Aをチャック付きポリ袋に入れ、開封直後(0時間(h))、加速条件下(AC)で1h、3h、6h、18h、1日(D)、2D、3D、4D、5D、6D、7D保存した試料を用いてJP13及びJP18に準じ重量偏差試験(WV)、およびDT、及び硬度測定(HM)を行った。また、室温(RT)及び乾燥器内(DC)で7D、14D、28D保存した試料を用いてWV、DT及びHMを行った。DTは各6個について試験液に精製水を用い、37℃±2℃、29~32往復/分、振幅数53~57mmで試験開始後5分毎に試験器を静かに引き上げ崩壊の様子を確認した。試験数は各3で行った。
【結果】WVは0h、AC(1h、3h、6h、18h、1D、2D、3D、4D)、RT及びDCは適合したが、AC(5D、6D、7D)は試料が変色、湿潤し測定不可能(NM)であった。DTは0h、AC(1h、12h、18h)、RT(7D、14D)、DC(7D、14D)は適合、AC(3h、6h、1D、2D、3D、4D)、RT(28D)、DC(28D)は不適、AC(5D、6D、7D)はNMであった。HMは測定可能なACでのみ経時的な硬度の変化がみられた。
【考察】チャック付きポリ袋での保存において、製品Aには経時変化が認められ湿度の影響が示唆された。また、崩壊時間の延長、硬度変化により、機能性関与成分の体内での放出および消化管からの吸収への影響が考えられることから、期待される特定の保健の目的を達成できない可能性が否定できない。