1.精神分析理論の分析と考察
フロイトの精神分析理論を分析すると、精神分析の「論理」(他者からの伝達知識による治癒) と「遂行」(他者との知識伝達の不可能性を前提とした対話による治療)の間に矛盾があることが明らかになる。フロイトの理論の意義は、この矛盾を止揚する機制として、「転移の原理」(知的過程は情動過程に導かれながらやって来て初めてその本来の認識の力を発揮することができるという知識の構造)を発見したことにある。
東京大学卒業論文