現在、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案において、医師の働き方改革が進められている。その改革の一つとして医師以外への医療職へのタスクシフト(業務の移管)が実施される。今回の臨床工学技士法の改正により、1. 血液浄化装置の穿刺針その他の先端部の表在化された動脈若しくは表在静脈への接続又は表在化された動脈若しくは表在静脈からの除去、2. 生命維持管理装置を用いた治療において当該治療に関連する医療用の装置 (生命維持管理装置を除く) の操作業務が移管された。
これに伴い、臨床工学技士養成校においても、これらの新しい業務に関する講義や実習の施行が必要となる。現在、全国の養成校においてカリキュラムの編成が行われており、3年制および4年制の大学および専門学校では2023年度より新カリキュラムの授業が行われる予定である。なお、旧カリキュラムでは合計93単位を取得すれば国家試験受験資格が得られたが、新カリキュラムにおいては合計101単位の取得が必要となる。大きく変わった点としては、「臨床支援技術」が新しい科目として加わり、内視鏡および心・血管カテーテル治療・検査の手技などについて学修すること、チーム医療の推進による業務拡大のために「看護概論」から「チーム医療概論」に変更になったこと、医用安全管理学が医用機器に関する安全だけでなく、医療全体の安全を学ぶという観点から「医療安全管理学」に名称が変わったこと、そして、「臨床実習」が4単位から7単位に増加したことなどが挙げられる。臨床実習に関しては、7単位すべて病院内で実習を行うのではなく、病院における実習前後に学内で実習をすることが必要となった。このような現状において、新しく加わった科目の講義内容や臨床実習前後の学内実習の内容を決定することが差し当たっての課題である。
巻51号2 開始ページ・終了ページ100 記述言語:日本語 掲載種別出版者・発行元:(一社)日本人工臓器学会
ID情報 ISSN : 0300-0818 eISSN : 1883-609 7医中誌Web ID : 2023091761