その他の研究業績等

基本情報

氏名 東郷 好美
氏名(カナ) トウゴウ コノミ
氏名(英語) Konomi Togo
所属 健康メディカル学部 医療科学科 臨床工学コース
職名 准教授
researchmap研究者コード
researchmap機関

タイトル・テーマ

上大静脈と下大静脈の血流比の変化がECMOの酸素化に与える影響

単著・共著の別

その他(発表学会等)

発行又は発表の年月

202411

発表学会等の名称

第62回日本人工臓器学会学術集会(栃木県・宇都宮ライトキューブ)

概要

目的 近年、Veno-venous Extracorporeal membrane oxygenation (V-V ECMO)中に積極的なリハビリテーションを行う施設が増加しており、カニューレが挿入されていない側の下肢のリハビリテーションが行われることがある。ヒトの安静時における上大静脈と下大静脈の血流比は約1:2であるが、下肢の運動により下大静脈の血流量は安静時の約2~3倍に増加することが報告されている。ECMO血液ポンプ流量は、低すぎると酸素供給が不十分になる可能性がある一方、過度に高い場合には、炎症反応の促進、活性酸素の増加による細胞障害、血管収縮による臓器血流の減少などの有害事象を引き起こすことが知られている。そのため、下大静脈の血流量が変化する場合には、ECMOポンプ流量を適切に調整しなければ、有害事象を引き起こすリスクがある。そこで、本研究では、上大静脈と下大静脈の血流比の変化がV-V ECMOにおける酸素化に与える影響を明らかにすることを目的とした。
方法 模擬回路を用いて検証した。模擬回路にはECMOポンプ、心臓ポンプ、上大静脈ポンプ、下大静脈ポンプの4機のローラーポンプを組み合わせた。模擬回路に5Lの新鮮な豚血を満たし、ECMO開始前に豚血の酸素飽和度を60±5%に調整した後、ECMOポンプ流量を4.0L/minに設定し、ECMOを開始した。心拍出量を模擬する心臓ポンプの流量は4.5L/minとした。上大静脈ポンプと下大静脈ポンプの流量比をそれぞれ1:2、1:4、1:6に変更し、再循環率およびECMO開始から150秒後の豚血酸素分圧を検証した。
結果 再循環率および豚血酸素分圧は上大静脈ポンプと下大静脈のポンプの流量比が、1:2のときに35.5±1.5% および137.7±0.4mmHg、1:4のときに25.0±2.0% および148.3±2.1mmHg、1:6のときに23.0±1.0% および175.6±2.6mmHgであった。
考察 下大静脈の血流量が増加するほど再循環率が減少し、血液酸素分圧が上昇することが明らかになった。このことから、リハビリテーション終了後にリハビリテーション中のECMOポンプ流量のままにしておくと、酸素供給量が減少する恐れがあるため、ECMOポンプ流量を増加させる方が望ましい可能性が高い。
発表:東郷好美、口頭発表