はじめに: 本実験は、擦過消毒剤を使用し、手袋を着用することで、屋外でも屋内と同様の鍼灸針(鍼)の衛生状態を維持できるかどうかを確認するために実施した。
方法: 被験者は15名の鍼灸師である。(1)屋内で、(2)屋外で、それぞれ擦過消毒と手袋着用後、さらに擦過消毒後の鍼を触ってもらい、寒天平板上で培養した。また、鍼に触れた鍼灸師の手も寒天平板上で触れ、培養した。
結果: 15検体中、屋外で鍼に触れたプレートで細菌のコロニー増殖が認められた。室内で鍼を刺した培地を培養したところ、15検体中1検体もコロニーの発育は認められなかった。鍼灸師の手指については、屋外では15例中8例、屋内では15例中5例からコロニーの増殖が観察された。
結論: 鍼灸師の手指を清潔に保つことは、屋内よりも屋外の方が難しいことがわかった。施術直前の再消毒など、より慎重な消毒が必要かもしれない。
恒松美香子、和田恒彦、今井賢治