バレエの基本姿勢の一つであるアラベスクは、下肢を90°に保つ際、股関節の伸展に骨盤の前傾・回旋を伴うことが報告されている.その際,腹部の筋が骨盤角度の調整に関与するとされる.しかし,動作遂行時の体幹筋の活動について報告は少なく,四肢の動作には体幹筋が連動して活動することを踏まえると限定的な見解に留まっている.本研究は,アラベスク保持時の①身体重心(Center of mass, 以下COM) XY合成加速度(SD値),②角度変化量(脊柱,骨盤,股関節),および③体幹筋活動量(腹直筋,脊柱起立筋)について,三次元動作解析装置と表面筋電計を用いてプロダンサーとアマチュアダンサーを比較した.COM XY合成加速度(SD値)において,プロダンサー群はアマチュアダンサー群に対し有意に低値であり,高い安定性を示した.しかし,角度変化量および体幹筋の活動量において有意な差はみられなかった.今後,プロダンサーとアマチュアダンサー間でCOM合成加速度(SD値)に差が生じた要因について,体幹筋は内・外腹斜筋の活動を含め評価する必要性が示唆された.